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『組織マネジメントの研究Vol.24(最終)』【付章 マネジメントのパラダイムが変わった】

テーマ毎のまとめ(マネジメント『基本と原則』/P.F.ドラッガー)

16.マネジメントのパラダイムが変わった

●マネジメントは企業のためのものか
マネジメントは企業のマネジメントだけではないことを確認しなければならない。
マネジメントの仕方は組織によって違う。使命戦略を定め、戦略組織を定めることは当然である。とはいえ、大きな違いは使っている用語ぐらいである。直面する問題や課題に違いはない。

●唯一絶対の組織構造はあるか
もやは万能の組織構造というものは、存在しえないことを認識しなければならない。存在しうるものは、それぞれが特有の強みと弱みを持ち、その場面ごとに適用されるべき組織構造である。組織とは、ともに働く人たちの生産性を高めるための道具である。

組織として守るべき原則)
①組織は透明でなければならない。誰もが組織の構造を知り、理解できなければならない。
②組織には最終的な意思決定者がいなければならない。危機にあっては、その者が指揮をとる。
権限には責任が伴わなければならない。
④誰にとっても上司は一人でなければならない。忠誠の重複を避けるべきは、昔からの原則である。
階層の数は少なくしなければならない。情報理論が教えるように、情報の中継点は雑音を倍加しメッセージを半減させる。したがって、組織構造は可能なかぎりフラットにしなければならない。

さらに重要なこととして、それぞれの組織構造の強みと弱みを知っておかなければならない。どのような仕事には「どの組織構造が適しているか」「仕事の性格の変化に応じて、いつ組織構造を変えるべきか」を知っておかなければならない。特に研究を要するのがトップマネジメントである。チーム型組織が不可欠であるとの結論があちこちで出されてはいるが、あらゆる国で実際に行っていることは、極端な個人崇拝である。

今日必要とされているものは、唯一絶対の組織構造の探求ではなく、それぞれの仕事に合った組織構造の探求であり、発展であり、評価である。

●唯一絶対の人のマネジメントの仕方はあるか
マネジメントの仕方はその対象によって変わるべきである。上司と彼ら知識労働者の関係は、かつての上司と部下の関係ではなく、指揮者と楽器演奏者の関係に似ている。知識労働者を部下に持つ上司は、オーケストラの指揮者がチューバを演奏できないのと同じように、自ら部下の仕事を肩代わりすることができない。

動機づけ、特に知識労働者の動機づけは、ボランティアの動機づけと同じである。仕事そのものから満足を得なければならない。挑戦の機会が与えられなければならない。組織の使命を知り、それを最高のものとし、献身できなければならない。より良い仕事のための訓練を受けられなければならない。成果を理解できなければならない。

これらのことは、人のマネジメントの仕方はいつも同じではないことを意味する。同じ種類の人たちであっても、状況の変化によってマネジメントの仕方は変わってくる

仕事上のパートナーとしてマネジメントしなければならない。パートナーシップの本質は、命令と服従の関係ではなく、対等の関係にある。パートナーに対しては理解を求めなければならない。

これからは、人をマネジメントすることは、仕事をマーケティングすることを意味する。マーケティングの出発点は、「相手が何を望むか」「相手にとっての価値は何か」「目的は何か」「成果は何か」である。

問題は成果についてのマネジメントの仕方である。ちょうどオーケストラやフットボールの中心が音楽や得点であるように、人のマネジメントの中心となるべきもの成果である。

人について行うべきは、マネジメントすることではなく、リードすることである。その目的は、一人ひとりの人間の強みと知識を生かすことである。

●技術と市場とニーズはワンセットか
今日の基本的な資源情報である。大勢が持つほど価値が上がる。このことの意味は、経済理論そのものの再構築を必要とするほどに大きい。マネジメントのあり方にとっても重大ない意味を持つ。

基盤とすべきは、顧客にとっての価値であり、支出配分における顧客の意思決定である。経営戦略は、そこからスタートしなければならない。

●マネジメントの範囲は法的に規定されるか
今日必要とされているものは、マネジメントの範囲の見直しである。理論と実務の双方において今後前提とすべきものは、マネジメントの範囲は、法的にではなく実体的に規定されるということである。あらゆるプロセスが対象とされなければならない。経済連鎖全体における成果と仕事ぶりに焦点を合わせなければならない。

●マネジメントの対象は国内に限定されるか
かつて多国籍企業にとって、経済の現実と政治の現実は一致していた。国が経済単位だった。しかし今日のグローバル企業、及び変身中のかつての多国籍企業にとって、国はコストセンターにすぎない。企業にとって、あるいは企業以外の組織にとっても、国は、戦略上も生活活動上も、経済単位ではなく厄介の種にすぎない。

マネジメントの対象と国境は一致しなくなった。もはやマネジメントの対象を政治的に規定することはできない。国境自体は、マネジメントにとって重要な意味を持ち続ける。だが今後前提とすべきは、国境は制約条件にすぎないということである。現実のマネジメントを規定するのは、政治ではなく経済の実体である。

●マネジメントの世界は組織の内部にあるか
企業にせよいかなる組織にせよ、イノベーションを行わず、起業家精神を発揮することなく、永続することはありえない。

マネジメントと企業家精神はコインの表裏である。マネジメントを知らない企業家が成功し続けることはありえない。イノベーションを知らない経営陣が永続することもありえない。企業によせ他のいかなる組織にせよ、変化を当然とし、自ら変化を生み出さなければならない。

マネジメントと企業家精神が、対立しないまでも異質なものであると考えているようであっては、倒産の浮き目を見ることは必須である。

組織の内部に存在するものは努力だけである。内部で発生するものはコストだけである。成果は組織の外部にしかありえない。マネジメントは、成果に焦点を合わせなければならないからである。

マネジメントの役割は成果をあげることにある。まさに組織の外部に成果を生み出すために資源を組織化することこそ、マネジメントに特有の機能である。成果を明らかにし、次にそれを実現するために手にする資源を組織しなければならない。マネジメントとは、企業、社会、大学、病院、女性保護協会のいずれであり、組織の外部において成果をあげるための機関である。

本稿が基本とするテーマは一つである。それは、成果をあげるための社会的機関としての組織である。この組織に成果をあげさせるための道具、機能、機関がマネジメントである。

もう一つ前提とすべきパラダイムがある。マネジメントが責任を負うものは、成果と仕事に関わることすべてである。

 

要点整理

◆マネジメントのパラダイムが変わった

●マネジメントは企業のためのものか
マネジメントは企業のマネジメントだけではない。マネジメントの仕方は組織によって違う。使命戦略を定め、戦略組織を定めることは当然である。

●唯一絶対の組織構造はあるか
万能の組織構造というものは、存在しえない。存在するのは、それぞれが特有の強み弱みを持ち、その場面ごとに適用されるべき組織構造である。組織とは、働く人たちの生産性を高めるための道具である。

組織として守るべき原則)
①組織は透明でなければならない。
②組織には最終的な意思決定者がいなければならない。
権限には責任が伴わなければならない。
④誰にとっても上司は一人でなければならない。
階層の数は少なくしなければならない。

さらに重要なこととして、それぞれの組織構造の強みと弱みを知っておかなければならない。どのような仕事には「どの組織構造が適しているか」「仕事の性格の変化に応じて、いつ組織構造を変えるべきか」を知っておかなければならない。特に研究を要するのがトップマネジメントである。チーム型組織が不可欠である。

●唯一絶対の人のマネジメントの仕方はあるか
マネジメントの仕方はその対象によって変わるべきである。上司と彼ら知識労働者の関係は、かつての上司と部下の関係ではなく、指揮者と楽器演奏者の関係に似ている。

動機づけ、特に知識労働者の動機づけは、ボランティアの動機づけと同じである。仕事そのものから満足を得なければならない。挑戦の機会が与えられなければならない。組織の使命を知り、それを最高のものとし、献身できなければならない。より良い仕事のための訓練を受けられなければならない。成果を理解できなければならない。

状況の変化によってマネジメントの仕方は変わってくる

仕事上のパートナーとしてマネジメントしなければならない。パートナーシップの本質は、命令と服従の関係ではなく、対等の関係にある。

これからは、人をマネジメントすることは、仕事をマーケティングすることを意味する。マーケティングの出発点は、「相手が何を望むか」「相手にとっての価値は何か」「目的は何か」「成果は何か」である。

人について行うべきは、マネジメントすることではなく、リードすることである。その目的は、一人ひとりの人間の強みと知識を生かすことである。

●技術と市場とニーズはワンセットか
今日の基本的な資源情報である。大勢が持つほど価値が上がる。このことの意味は、経済理論そのものの再構築を必要とするほどに大きい。マネジメントのあり方にとっても重大ない意味を持つ。

基盤とすべきは、顧客にとっての価値であり、支出配分における顧客の意思決定である。経営戦略は、そこからスタートしなければならない。

●マネジメントの範囲は法的に規定されるか
マネジメントの範囲は、法的にではなく実体的に規定される。

●マネジメントの対象は国内に限定されるか
今日のグローバル企業、及び変身中のかつての多国籍企業にとって、国はコストセンターにすぎない。マネジメントの対象と国境は一致しなくなった。今後前提とすべきは、国境は制約条件にすぎないということである。現実のマネジメントを規定するのは、政治ではなく経済の実体である。

●マネジメントの世界は組織の内部にあるか
企業にせよいかなる組織にせよ、イノベーションを行わず、起業家精神を発揮することなく、永続することはありえない。

マネジメントと企業家精神はコインの表裏である。マネジメントを知らない企業家が成功し続けることはありえない。イノベーションを知らない経営陣が永続することもありえない。企業によせ他のいかなる組織にせよ、変化を当然とし、自ら変化を生み出さなければならない。

組織の内部に存在するものは努力だけである。内部で発生するものはコストだけである。成果は組織の外部にしかありえない。マネジメントは、成果に焦点を合わせなければならないからである。

マネジメントの役割成果をあげることにある。まさに組織の外部成果を生み出すために資源を組織化することこそ、マネジメントに特有の機能である。

本稿が基本とするテーマは一つである。それは、成果をあげるための社会的機関としての組織である。この組織に成果をあげさせるための道具、機能、機関がマネジメントである。

 

所 見

●マネジメントにおける対人関係
マネジメントという言葉を知っている人は少なくない。しかしながら、資源としての人材をマネジメントする上で、対等な関係パートナーシップリードする視点をもって対応すべきことが、人材という資源をマネジメントする上で重要であることをどれくらいの人が知っているであろうか。未だに主従関係のマネジメントが通常であると思っているトップマネジメントが少なくないのではないだろうか。または、主従関係の方が楽なので、その点は理解したくないというトップマネジメントが少なくないのではないだろうか。権限をもち、責任はもつが、だから主従関係が必要だという結論にならない。成果を出すために、人の強みを生産的なものとするためには、人間としての対等な視点が必要である。ドラッガーも述べている通り、知識労働者が主流となっている現代では、よりその重要性が増しているといえる。

●トップマネジメントのチーム編成で大切なこと
トップマネジメントをチームで行うことは重要である。人間は完璧ではない。どれだけ優秀なトップでも得意、不得意、強み、弱みがある。トップマネジメントの中のトップは特にその点を理解すること。チーム編成する上で自分自身を十分理解した上で、好き嫌いではなく、成果をだすためのチーム編成をしなければならない。チーム編成にありがちな好き嫌いによる人選、主従関係によるチームづくりは避けなければならないと思う。あくまで組織として特有の使命を果たし、成果をあげるために、最大、最高のパフォーマンスを行える体制をつくりあげるためのチーム編成が重要だと思う。

●マネジメントとイノベーションは組織の生命線
ドラッガーも述べている通り、トップマネジメントがマネジメントとイノベーションの重要性を理解し、その意識をもって組織運営するか否かは、組織の浮沈を左右する。マネジメントもイノベーションもない組織は必ず衰退し、堕落する。それは歴史が証明しているといえるし、人間心理においても合理性がある。挑戦する風土をつくり、個々の人間の成長や自己実現を引き出す環境をつくらなければ、成果は出せない。組織は成長できない。発展できない。組織全体の意識の低下を招く。

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