人間味あふれる人材開発

コロナ禍において自らの人生をどうマネジメントするか~ドラッガー哲学を踏まえ考えてみた~

コロナ禍で価値観に大きな変化がおとずれたように思う。

集団から個への変化である。人間は歴史的に、そして、社会心理学的に自由から、そして個から離れて従属する道を選んだが、個に戻りつつある。個は自由だが孤独であるがゆえ、突き抜けることは容易ではない。

他人と会う機会が減る一方、自分と向き合う時間が増え、これまでの自分自身の生き方、働き方を見直す人たちが増えた。

しかしながら、どのような尺度で自らの人生や働き方について振り返り、考え、深め、人生の価値観をあらためて見出し、今後の人生の進路をとれば良いのかわからなくなっている人々は少なくないように思う。

コロナ禍で、自殺者が増えた。精神的な孤独感、孤立感に苛まれている人たちが増えたことの象徴であり、国も対策を考えはじめているという。(先日、東京で先進的な生活困窮者の支援を取り組んでおり、現在、内閣官房に入ってコロナ禍における孤立、孤独についての対策を検討している知人より沖縄の状況についてのヒアリングがあった。)

あらためて、ドラッガーの書籍から『自己マネジメント』に関する部分のみを抜粋してまとめ、自分自身の人生を取り戻すためにはどのようにすべきか考察してみたいと思う。

≪まとめ≫

1.私の人生を変えた七つの経験

●ドラッガーの人生を変えた七つの経験(教訓)

目標ビジョンをもって行動し続けること。
②神々しか見ていなくとも、完全を求めていくこと。
③日常生活に継続学習を組み込み、一つのテーマごとに集中して勉強し続けること。
④定期的に検証と反省を行うこと。
新しい仕事で成果をあげるには何をしなければならないかと自問すること。
⑥目標と期待する結果を書き、実践した上でフィードバック分析を行うこと。
何によって人に知られたいかを考えること。

●「自己啓発配属には、本人責任をもつようにならなければならない。」

●これからは、誰もが自らをマネジメントしなければならない自らを最も貢献できる場所に置き、成長していかなければならない。

2.自らの強みを知る

●強みは何か
何ごとかを成し遂げるは、強みによってである。自らの属する場所がどこであるかを知るために、自らの強みを知ることが不可欠になっている。強みを知る方法は一つしかない。フィードバック分析である。

●フィードバック分析から分かること
①明らかになった強みに集中すること。成果を生み出すものに集中すること。
②その強みをさらに伸ばすこと。
③無知の元凶ともいうべき知的な傲慢を正すこと(何を勉強するべきか)
④自らの悪癖を改めること(何を改善するべきか)
人への対し方が悪くて、みすみす成果をあげられなくすることを避けること
⑥行っても成果のあがらないことは行わないこと
⑦努力しても並にしかなれない分野に無駄な時間を使わないこと(何に時間を集中すべきか)

仕事の仕方に着目する
自らがいかなる仕事の仕方を得意とするかは、強みと同じように重要である。人は得意な仕方で成果をあげる。

①理解の仕方  例)読む人か、聞く人か
②仕事の学び方 例)メモを取る、人に教える

人と組むか、ひとりでやるか
どのような人と組むと仕事ができるか
どのような環境が仕事ができるか 例)緊張感あり、安定した環境
大小どちらの組織でやる方が仕事ができるか
どのような役割でやる方が成果があがるか 例)意思決定者か補佐役、例)№1か2か

これらのことから出てくる結論は一つである。今さら自らを変えようとしてはならない。うまくいくわけがない。それよりも、自らの得意とする仕事の仕方を向上させていくべきである。不得意な仕方で仕事を行おうとしてはならない。

●価値観を優先する
自らをマネジメントするためには、強み仕事の仕方とともに自らの価値観を知っておかなければならない。強みと価値観が合わないことは珍しくない。優先すべきは、価値観である。

組織において成果をあげるためには、働く者の価値観組織の価値観になじまなければならない。

●ところを得る
①強み②仕事の仕方③価値観が分かっていれば、機会、職場、仕事について、私がやりましょう、私のやり方はこうです、仕事はこういうものにすべきです、他の組織や人との関係はこうなります、これこれの期間内にこれこれのことを仕上げます、と言えるようになる。①強み、②仕事の仕方、③価値観という三つの問題に答えが出さえすれば、得るべきところも明らかになるはずである。

最高のキャリアは、あらかじめ計画して手にできるものではない。①強み、②仕事の仕方、③価値観を知り、機会をつかむよう用意をした者だけが手にできる。

3.時間を管理する

●成果をあげる者は時間からスタートする
①時間を記録し、②時間を管理(取捨選択)し、③時間をまとめるという三つの段階が、成果をあげるための時間管理の基本である。

●時間を無駄にする仕事
成果には何も寄与しないが無視できない仕事に時間を取られる。膨大な時間が、ほとんど、あるいはまったく役に立たないことに費やされる。

例)毎晩のように続く会食会、上得意からの電話(業務外の話)、組織内のあらゆる会議への出席など

時間をまとめる
時間は、大きなまとまりにする必要がある。

・人間関係には時間をじっくりかけることが重要である
何らかの人間関係を築くためには、はるかに多くの時間を必要とする。

・知識労働者との関係には時間をかける
知識労働者との関係では、多くの情報や対話や指導が必要となる。

・トップは対話に時間をかける

・人事には時間をかける
人事についての決定こそ、手早く行うと失敗する。

・常時イノベーションが必須の変化の激しい社会は膨大な時間を要求する

●時間の使い方を記録する
時間の記録の具体的な方法については、ほぼリアルタイムに記録していくことである。最低でも年二回ほど、三、四週間記録をとるべきである。

●仕事を整理する
体系的な時間の管理である。時間を浪費する非生産的な活動を見つけ、排除していくことである。

●時間整理の診断方法
第一に、いかなる成果も生まない完全な時間の浪費であるような仕事を見つけ、捨てなければならない。「まったくしなくなったならば、何が起きるか」を考えればよい。

第二に、「他の人間でもやれることは何か」を考えなければならない。

第三に、自らが他の人の時間を浪費しているケースである。「あなたの仕事に貢献せず、ただ時間を浪費させるようなことを、私は何かしているか」と定期的に聞けばよい。

●マネジメントの欠陥がもたらす時間の浪費
マネジメント上の欠陥に起因する時間の浪費がある。それらの間違いや欠陥は、あらゆる人の時間を浪費する。

第一に、システムの欠陥や先見性の欠如からくる時間の浪費である。
予防するか、事務的に処理できる日常の仕事にルーティーン化しなければならない。

第二に、人員過剰からくる時間の浪費がある。
仕事をするよりも、たがいに作用し合い、影響し合うこちに、ますます多くの時間が使われているという状況である。

第三に、組織構造の欠陥からくる時間の浪費がある。
その兆候は、会議の過剰である。理想的に設計された組織とは、会議の無い組織である。会議は元来、組織の欠陥を補完するためのものである。

第四は、情報に関わる機能障害からくる時間の浪費がある。
必要な情報が必要なところ、部署に伝わっていないことによる時間の浪費。

●汝の時間を知れ
成果をあげるためには、自由に使える時間を大きくまとめる必要がある。時間管理の最終段階は、時間の記録と仕事の整理によってもたらされた自由な時間をまとめることである。

・時間をまとめる方法
時間をまとめるには、いろいろな方法がある。

例)週に1日家で仕事をする、会議や打合せを月曜と金曜にまとめる、ある日の午前中に重要な問題についての集中的かつ継続的な検討に当てる

しかし、時間をまとめるための具体的方法よりも、時間管理に対するアプローチの仕方の方がはるかに重要である。

・仕事の締め切り日を設ける
大きな成果をあげているある人は、緊急かつ重要な仕事とともに、気の進まない仕事についても、締め切りを設けたリストを作っている。それらの締め切り日に遅れ始めると、自由にできる時間が再び奪われつつあることを知る。

☆時間の分析は、自らの仕事を分析し、その仕事の中で何が本当に重要かを考えるうえでも、体系的かつ容易な方法である。

4.もっとも重要なことに集中せよ

●何のために集中するか
成果をあげるために必要なのは集中すること。集中とは、一番重要なことから、一番最初に一つに絞ってやること。そのためにまとまった時間を確保すること。

●成果をあげるために強みを一点に集中させること
成果をあげるためには、強みを生かし、重要な機会に集中すること。そうでなければ良い仕事はできない。

●仕事を早く終わらせためにも一点集中すること
仕事を早く終わらせるためにも、集中が必要であり、一つに絞って処理していくことが大切。

●集中するために古いものを思い切って捨てること

●集中するためには優先順位を勇気をもって決めること
優先順位勇気をもって決めることが必要。優先順位は、①未来、②チャンス、③自らの独自性、④新しい道を切り開くこと決定原則とすること。

 

5.人生をマネジメントする

●第二の人生がなぜ必要となっているのか
①長寿となったこと
組織よりも働く人の寿命が延びたこと。
②数十年の同じ仕事は退屈すること
誰でも、同じ仕事を長期間やり続ければ退屈し、惰性になり、周りの者が迷惑する。
③全盛期は中年でおとずれ成長が止まり学ぶことが無くなること
超一流の一部の芸術家、科学者は除き、45歳頃は大抵全盛期であり、仕事はお手のものになる一方、学ぶべきことは無くなり、心躍らなくなる年になる。

●第二の人生の設計の仕方
組織だけ変えるか、もしくは新しいことへ挑戦すること。
②現在の仕事を維持しながら、第二の仕事をもつこと。
③仕事を減らし慈善活動家になること。

●第二の人生において留意すべきこと
①早めに助走を開始すること
逆境時に自らを救ってくれること
③社会での成功に機会を掴むことにつながること

●自己実現して成功するためには
思考行動にパラダイムシフトを起こし、進化し、自らに革命を起こすこと。

●人生をマネジメントし、自己実現可能な理想組織、社会とは
社会が真に機能するために必要なコミュニティの絆を前提とし、移動の自由を実現する組織、社会は、人生をマネジメントし、自己実現可能な理想組織、社会となる。終身雇用によってコミュニティの絆を培ってきた日本が移動の自由を実現する解決ができれば、他国のロールモデルとなりうる。

6.“教育ある人間”が社会をつくる

●知識社会の中心になる教育ある人間
知識社会に移行したがゆえに、中心となるのは教育ある人間である。そして、知識社会への移行は、知識社会の代表者たる教育ある人間に対し、新しい挑戦、新しい問題、さらには、かつてない新しい課題を提起する。

●教育ある人間に必要な『普遍性』と『一般教養』
教育ある人間の定義が決定的に重要になる。ポスト資本主義社会は普遍性をもつ教育ある人間を必要とする。明日の教育ある人間はグローバルな世界に生きる。彼らは、ビジョン、視野、情報において世界市民である。教育ある人間は、多様な知識を理解する能力を必要とする。教養課程一般教養を必要とする。教養としての第一の責務は、相互理解をもたらすこと、すなわち、文明が存在しうるための条件たる対話の世界をつくり出すことである。今日、新しい洞察の多くが、まったく別の専門分野、別の専門知識から生れているからである。

●『知識社会』と『組織社会』の理解が教育ある人間には必要
ポスト資本主義では、すべての教育ある人間が二つの文化、すなわち、知識社会組織社会を理解できなければならない。両者が均衡して初めて、創造と秩序、自己実現と課題達成が可能となる。

7.何によって憶えられたいか

●自らの成長に責任をもつ
・自らの成長のためにもっとも優先すべきは卓越性の追求である。
・誰もが自らに対し、「組織と自らを成長させるためには何に集中すべきか」を問わなければならない。
・果たすべき責任は、自らの最高のものを引き出すことである。
・成功の鍵は責任である。責任ある存在となることは成長の必要性を認識することである。
・成長するということは、能力を習得するだけでなく、人間として大きくなることである。

●辞めるか、移るか(自らの得るところをマネジメントする)
・自らの成長のためには、自らがベストを尽くせるのはどこかを知らなければならない。
・いくつかのキャリアを通じ汝を知ることがなければ、自らの得るべき場所は得られない。
自らの得ないところ価値観の合わないところ自らを二流にしダメにする
・仕事から学び続けるには、成果を期待にフィードバックさせなければならない。
・自らを知り、自らをマネジメントしていかなれければならない

●成長するための原理
・成果をあげるための第一歩は、
「行うべきことを決めること」、次に「優先すべきことを決めること」、そして「自らの強みを生かすこと」である。
自らの強み自らの成果でわかる。

成長の最も効果的な方法は自らの予期せぬ成功を見つけ、その予期せぬ成功を追求することである。
成長のプロセスを維持していくための強力な三つの手法は
「①教えること」
「②移ること(成長できる場所を選ぶこと)」「③現場に出ること」である。

成長のための偉大な能力をもつ者はすべて、自分自身に焦点を合わせている。ある意味では自己中心的であって、世の中のことすべてを成長の糧にしている。

●何によって憶えられたいか
この「何によって憶えられたいか」を自らに問い続けてる。これは、自らの成長を促す問いである。一生を通じて自らに問い続けていくことができるものである。

 

所 見

自分の本当の人生を生きるためにはどうしたらよいのだろうか。ドラッガーが述べている自らをマネジメントする意義とはいったい何だろうか。私は、本来の自分の人生を生きるために自らをマネジメントすることが必要なのだと思う。では、本来の人生とは何だろうか。本来の人生とは、自分の天命をできれば天職を通して真っ当することだと思う。もちろん、それが見つからないことが悪いことではないし、そのことでその人間の価値が貶められるわけではない。しかしながら、明らかにそうではないことを行っていると、人間の心は間違いなく蝕まれる。仮に経済的なことがクリアされていてもだ。

自分の強み、仕事の仕方、価値観を最初から分かっている人間などこの世にいない。全ての人間が人生にチャレンジし、人生キャリアのフィードバックをする中で見つけることができるものだと思う。ただ、成育歴などから自分の力を自己限定し、社会の同調圧力から人生のサラリーマンになってしまっているだけだ。

本当は全ての人間が素晴らしい能力をもっているし、天命も天職ももっていると信じる。そのためには、人生にどんどんチャレンジして、自らを開拓してく必要がある。そして自らを知り、自らの価値に目覚める必要がある。結果、自分のことを愛し、幸福を感じながら人生を謳歌できるはずである。自分を愛することができれば、人も本当に愛することができる。私自身もそのことにチャレンジしている真っただ中だ。

周りに人がいても孤独、孤立に陥るのは、自分の価値、評価を他人に預け、心の声を聞けていないからだ。本当に自分の魂が、心が望んでいることを無視し続けているから、違ったことをやり続けているからだと思う。

経済的苦境に陥ったり、心の通う仲間がいなかったり、自分の魂との分離をおこすことが心が病む要素になるが、一番は自分の魂との分離が大きいのではないかと思う。一言、「助けてほしい。」と社会に発信できるかどうかは大きい。三つが重なれば、自死に至るほどのダメージになるのは間違いない。

個になることは、自由ではあるが、徹底的に自らを深めないと孤独や孤立を突き抜けられない。最近流行りのFIREをして、早期退職して無理に働かなくても良い生活を手に入れられたのに、みな社会に戻っていくのは、経済的に満たされても、人間は精神的満足を得られないことを示している。やはり人間は精神世界においては『自己重要感』、社会的には、自己実現を通して社会貢献すること。そうしなけば、本当の意味での孤独や孤立を突き抜けられないことを意味していると思う。

弱さを露呈することは、恥だとする文化、自らの本当の声を発する事よりも社会が求める答えに同調することの方が価値があるとする文化がまだまだ日本にはある。それに押しつぶされるのか、個を追求して突き抜けるのか。エンゼルスの大谷や日ハムの監督になった新庄は、徹底して個性を追求し突き抜けた象徴であり、集団から個の時代に移った象徴だと思っている。

一人ひとりの個性、価値が尊重され、その価値に共感、共鳴する仲間と日本だけでなく、世界でつながる時代がこれからの時代ではないかと思う。

自らを意識的にマネジメントすることで自らの本当の力、価値に目覚める人々が多く世に出て来ることを期待して止まないし、私もその一助になれればと思う。

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