人間味溢れる組織づくりが地球の未来を創造する
~プロデュース・マネジメント~

『心のマネジメント研究』~自己重要感と自己愛性パーソナリティー障害・演技性パーソナリティー障害の違い~Vol.1

今回は、間違えやすい『自己重要感』『自己愛性パーソナリティー障害』『演技性パーソナリティー障害』の違いについて考察したいと思います。

第1回目は『自己愛性パーソナリティー障害』について考察します。

 

〔まとめ〕

①自己愛とは
自分を愛する能力。自分はここにいて良い。自分は好きという感覚。

②パーソナリティー障害とは
性格が偏って周りの人を苦しめたり、自分も苦しめる。周りと軋轢を繰り返す。問題が起きる。

③自己愛性パーソナリティー障害
自分を過信し、他者を軽視するような考えを持っているのが特徴で、基本的に自己中心的な言動・振る舞いをします。

(1)全体的特徴
・自己愛肥大の人。
・損得・利害関係に神経質で、周りからの評価に強く固執します。
・褒めてもらえないと価値がないと思う脆い精神状態。そうしないと自分が保てない。
・過剰なプライドと劣等感が同居。
・傷つきやすく、臆病。無価値観が根底にある。
・自信過剰。「自分が、自分が」という人が多い。自分は絶対に正しい。自分を認めるべき。自分が一番じゃないと許せない。
・嫉妬心が強い。
・家族も友人も自分の道具。自分が世界の中心。
・自分を特別な人間だと思わないと自分を保てない。
・自分が本当は寂しく、ダメな人間だと認められないので、自分を飾る。
・他人を利用したり、引きずり降ろしても何とも思わない。良心の呵責がない。
・見捨てられ不安が強い人が多い。

(2)個別的特徴
【1】初めはとても魅力的
魅力的。初対面は親切。イケメン、美女が多い。大風呂敷を拡げるが、中身が伴わない。ファンが多い。カリスマ性があるので教祖と言われるくらいになることもある。自己重要感低い。恐怖がとれると、自己愛が噴火し暴れ出す。

【2】表裏の落差が激しい
表裏の落差が激しい。劣等感は、親からの卑屈な体験、寂しい思い等から。自己否定が強い。過剰に世の中に発表する。

【3】称賛されると自己愛が肥大
現実を見ていない。等身大の自分を見ていない。

【4】否定や非難、意見に耐えられない
意見は文句ではないのだが、文句と捉え意見を受け入れない。周りの人は振り回される。自己愛性は自殺が多い。鬱になって自殺するケースある。ダメな自分は認められない。過剰に自分を強く見せる。演出までする。結果、自分の首を絞める。

④原因
一般的な原因として、「悲劇的・過酷な幼少期を過ごしたから」、「親や周りからの愛情不足」など。人は、幼少期のうちに将来の人格の基盤をつくっていきます。褒められ、認められ、喜ばれる経験をもとに、子どもたちはアイデンティティを確立していきます。しかし、これがうまくいかないと、人は自分を認められなくなります。つまり自信喪失です。そして、その自信の無さを埋めるように、必要以上に他者と比較して『自惚れ』していきます。自分が好きだから自己愛なのではなく、自分が認められないから。アイデンティティが曖昧な彼らは、周りに様々なものを求めます。お金、評価、注目など。

目に見える明確な数値で人よりも優れていると思い込みます。敵か味方か。自分にとって愉快か不愉快かで善悪をバッサリ決めます。

⑤目に見えるかたちの4つの傾向
・お金にルーズ
・異性にルーズ
・平気で嘘をつく
・平気で他人を利用する。

⑥克服法
「自覚すること」と「他人と比較するのではなく、等身大のありのままの自分を受け入れること」

 

〔所 見〕

私もこのような人と遭遇したことがあります。『自分を好きな人』と言えば、聞こえは良いですよね。しかしながら、この症状が強い人の特徴としては、自分が一番でないと気が済まないし、表向きはソフトかもしれませんが本音では他人を軽視します。そして、平気で人を利用したり、「使えない」、「味方でない」と思ったら、冷酷なほどバッサリ切り捨てます。本当の自分の寂しさや弱さを認められないから、あるがままの自分を認められないから起きる現象なのだと思います。承認欲求が強烈に強いですね。

やはり、パーソナリティー系の障害の要因として多いのですが、幼少期に親からの愛情不足で自尊心が育まれなかったことに原因がある人が少なくないと思います。根底は自分に対する無価値観。自分に価値があると思えるようにするために『自惚れ』する。表面的に自分には価値があると無理やり思い込む。そのために、他人が自分を支持してくれる人か、利用できる人かで取捨するのが特徴ではないかと思います。

しかしながら、幼少期に両親から十分な愛情を与えられて育つ人はそれほど多くなく、ほぼすべての人が何らかのパーソナリティー障害を抱えて生きているのが現状だと思います。また、そうでなければ、一定期間生き抜くことは難しいでしょう。

ただ、いつまでも、古い価値観、古いマインドセットで生きていると、他人だけでなく、自分も苦しめるため、精神的崩壊を招いたり、自死することもあるのだと思います。

一人ひとりが自分の症状を自覚し、新しいマインドセットへの転換をはかり、あるがままの自分を認められるようにすれば、世代を越えて続いてしまう心の負の連鎖も止むのだと思います。本当の人生を歩むためにも本来の自分に気づき、認め、新しい価値観に心を書き換えていくことが大切ではないでしょうか。ネガティブな感情の顕在化は生きずらさの要因となっている価値観に気づかせてくれるのです。流さないようにした方が良いですね。

タグ: ,