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『組織マネジメントの研究Vol.3』【事業目標/戦略計画】

 

テーマ毎のまとめ(マネジメント『基本と原則』/P.F.ドラッガー)

5.事業の目標とは何か

事業の定義は、目標に具体化しなければならない。

●マーケティングの目標【事業目標の視点1】
目標設定の中心は、マーケティングイノベーションである。なぜなら、顧客が代価を支払うのは、この二つの分野における成果と貢献に対してだから。

・マーケティングの目標
①既存の製品についての目標、②既存製品の廃棄についての目標、③既存市場における新
製品についての目標、④新市場についての目標、⑤流通チャンネルについての目標、⑥ア
フターサービスについての目標、⑦信用供与についての目標

これらの目標は、「集中の目標」「市場地位の目標」という基本的意思決定の後でなけ
れば設定できない。
例)「立つ場所を与えてくれれば世界を持ち上げてみせる」(byア
ルキメデス)
立つ場所が「集中すべき場所」である。

・集中の目標
集中の目標があって初めて「われわれの事業は何か」との問いに対する答えも、意味のあ
る行動に換えることができる。

・市場地位の目標
売上げの伸びと関係なく、市場シェアは企業にとって致命的に重要である。

市場において限界的な存在 にならないための下限は業種によって違うが、限界的な存在になるということは、長期的に見たとき企業の存続にとってきわめて危険である。

上限もある。市場を支配すると惰眠をむさぼる。自己満足によって失敗する。組織の中に
革新に対する抵抗が出て来る。外部の変化に対する適応が危険なまでに難しくなる。市場
の側にも、独占的な供給者に依存することに根強い抵抗が出て来る。

新市場、特に大きな新市場は、供給者が一社よりも複数であるほうが、はるかに早く拡大
する傾向がある。

市場において目指すべき地位は、最大ではなく、最適である。

●イノベーションの目標【事業目標の視点2】
「われわれの事業は何であるべきか」との問いに対する答えを具体的な行動に移すためのも
の。

・三種類のイノベーションがある。
①製品とサービスのイノベーション、②市場におけるイノベーションと消費者の行動や価値観におけるイノベーション、③製品を市場へ持っていくまでの間におけるイノベーション

最大の問題は、イノベーションの影響度と重要度の測定の難しさにある。
例)包装の改良と化学上の発見のどちらが重要か、デパートと製薬会社、製薬業界におけるそれぞれの会社で違う。

●経営資源の目標【事業目標の視点3】
・三種類の経営資源それぞれにも目標が必要である。
①土地つまり物的資源、②労働つまり人材、③資本つまり明日のための資金

・三つの経営資源の目標は二つの方向について設定しなければならない。
①経営資源に対する自らの需要、②市場

特に良質の人材資金を引き寄せることができなければ、企業は永続できない。衰退の徴候は、有能でやる気のある人間に訴えるものを失うこと。

・人材と資金は、マーケティングの考え方が必要である。
「われわれが必要とする種類の人材を引きつけ、かつ引き止めておくには、わが社の仕事をいかなるものとしなければいけないか」、「獲得できるのは、いかなる種類の人材か。それらの人材を引き付けるには何をしなければならないか」「銀行の借り入れ、社債、株式などわが社への資金の投入を、いかにして魅力あるものにしなければならないか」を問うことである。

●生産性の目標【事業目標の視点4】
あらゆる企業が、三つの経営資源を生産的なものとし、生産性の目標を設定しなければならない。

企業の各部門、企業間のマネジメントの比較は、生産性が尺度となる。企業間に差をつけるものは、「マネジメントの質の違い」である。マネジメントの質という致命的に重要な要因を測定する一つの尺度が、生産性、すなわち、「経営資源の活用の程度とその成果」である。

生産性の向上こそ、マネジメントにとって重要な仕事であり、困難な仕事の一つである。なぜならが、各種の要因間のバランスをとることだからである。生産性とは難しいコンセプトだが、中心となるコンセプトである。生産性の目標がなければ、方向性を失う。コントロールできなくなる。

●社会的責任の目標【事業目標の視点5】
社会的責任は無形なものと考えられてきたが、消費者運動、環境破壊など有形たりうるようになってきた。

企業にとって社会との関係は自らの存在に関わる問題である。企業は社会と経済のなかに存在する。社会や経済は、いかなる企業をも一夜にして消滅させる力を持つ。

社会性に関わる目標は、企業の戦略に組み込まなければならない。社会性の目標が必要となるのは、マネジメントがまさに企業に対して責任を負っているためである。

●費用としての利益【事業目標の視点6】
利益とは企業の存続条件である。利益とは、未来の費用、事業を続けるための費用である。利益計画は必要だが、利益の必要額についての計画でなければならない。

●目標設定に必要なバランス
・目標を設定するには三種類のバランスが必要である。
①利益とのバランス、②近い将来と遠い将来とのバランス、③他の目標とのバランス、すなわち、目標間のトレードオフ(何かを達成するためには、何かを犠牲にしなければならない関係)関係。

何もかもできる組織はない。金があっても人がいない。優先順位が必要である。あらゆることを少しづつ手掛けることは最悪である。いかなる成果もあげれない。まちがった優先順位でも、ないよりはましである。

●実行に移す
最後の段階が、目標実現のための行動である。「われわれの事業が何か。何であるべきか」を考え目標を検討するのは、行動するためである。

その狙いは、組織のエネルギーと資源を正しい成果に集中することである。

検討の結果もたらされるものは、具体的な目標期限計画仕事の割当である。

6.戦略計画とは何か

●戦略計画でないものを知る
戦略計画とは魔法の箱や手法の束ではない。思考であり、資源行動に結びつけるものである。

必要なものは、長期計画ではなく、戦略計画である。まず、戦略計画といえないものを知ることである。

戦略計画は、思考であり、資源行動に結びつけるものである。それは、思考分析像想判断を適用することである。手法ではなく、任である。

戦略計画が必要なのは、われわれが未来を予測できないからである。企業が利益によって報われる唯一の貢献、すなわち企業家的な貢献とは、経済、社会、政治の状況を変えるイノベーション、真にユニークな出来事を起こすことである。予測は役に立たない。

戦略計画は、現在の意思決定が未来において持つ意味に関わるものである。最大の問題は「不確実な明日のために今日何をなすべきか」である。「現在の考え方や行動にいかなる種類の未来を折り込むか、どの程度の先を考えるか」である。

経済活動とは、現在の資源を未来に、すなわち、不確実な期待に賭けることである。経済活動の本質とは、リスクを冒すことである。得るべき成果と比較して冒すべきリスクというものが必ずある。戦略計画に成功するということは、より大きなリスク負担できるようにすることである。より大きなリスクを負担できるようにすることこそ、起業家としての成果を向上させる唯一の方法だからである。

●戦略計画とは何か
・戦略計画とは
①リスクを伴う起業家的な意思決定を行い、②その実行に必要な活動を体系的に組織し、③それらの活動の成果を期待したものと比較測定するという連続したプロセスである。

「何を行うか」だけでなく、「いつ行うか」との問いも同じように重要である。この問いへの答えこそ、新しい仕事に取り組むべきタイミングを教えてくれるから。

成果は、組織のなかの主な人材を割り当てることによって決まる。戦略計画は、将来において成果を生むべき活動に資源を割り当てて、初めて意味を持つ。したがって、「誰を任命するか」を問うことが不可欠となる。

マネジメントの判断力指導力ビジョンは、戦略計画という仕事を体系的に組織化し、そこに知識を適用することによって強化されるとみるべきである。

 

所 見

事業の目標とは何か

『事業とは何か』を定めた上で、事業の目標設定が必要になります。あらためて要約すると、目標設定の視点としては、①マーケティング、②イノベーション、③経営資源、④生産性、⑤社会的責任、⑥利益ということになります。

それぞれの目標のにおいて特に重要な視点をあらためて整理すると、マーケティングにおいては『集中すべき立ち位置』をはっきりさせることが重要であり、経営資源においては『良質の人材と資金の確保』が重要となり、生産性においては『経営資源をどのように上手く活用し得るか』というマネジメントの手腕が問われ、利益については『その必要額の計画』でなければならないということになります。

そして、企業の目的は『顧客を創造すること』なので、その目的を果たすための目標が、上記の6つの目標にもなってくると思います。

ドラッガーが強調しているのは、目標についても、マーケティングの視点、イノベーションの視点が重要であるとしていること。顧客の視点、市場の視点、社会の視点を忘れてはならないということです。顧客を大事にすることは当たり前のことなので誰もが忘れることはないと思いますが、顧客のニーズという視点は忘れがちです。常に、顧客のニーズを意識した取組みが重要だと再認識させられました。

戦略計画とは何か

事業を定義し、目標を定めたら、目標を達成するための『戦略計画』が必要となります。誰が、何時、何を、どのようにするのか。特に『人の割当』が重要であるとしています。

そして、戦略計画は決まった手法やプログラムで導き出せるものではなく、本質は思考であり、分析や判断が必要となるとしています。

戦略計画は、マネジメントの思考力が問われ、また大きく養われる機会になるということにもなると思います。ある意味、思考におけるマネジメントの核になるところではないかと思います。直線的思考ではなく、3D的思考が必要なってきます。マネジメントをする立場であるならば、普段から総合的に物事を考える癖をつくけていくことが必要かもしれないですね。

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