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真実の瞬間~SASのサービス戦略はなぜ成功したか~/ヤン・カールソン

真実の瞬間 -SAS(スカンジナビア航空)のサービス戦略はなぜ成功したのか-

ヤン・カールソン(SASグループ最高経営責任者)

概要&解説

スカンジナビア航空は、『世界で最もホスピタリティーの高い航空会社』と言われたが、偶然の賜物ではなかった。
それはヤン・カールソンによって導かれた。彼は極度の経営不振に陥っていたスカンジナビア航空を再建しただけでなく『顧客本位』の『市場最高のサービス』を提供する航空会社(ターゲットは、頻繁に旅行するビジネスマン)とするべく、最も顧客と接している最前線の従業員の独創性を解放し、現場に権限を委譲し、現場の判断で柔軟且つ迅速に顧客に対応できる組織とした。

それらの方策が従業員のやる気と潜在能力を引き出し『真実の瞬間(顧客が最前線の従業員と接する瞬間がその会社に対するイメージを最も左右するということ)』のお産婆さんとなった。

そのためにピラミッド型の組織機構を解体し、水平型、フラット型の組織機構へ大転換した。

経営改革をしようとすると経費削減ばかりに傾きがちだが『顧客本位』という大原則に立ち『競争力を高めるための資源』であればということで大規模な投資も断行した。

掲げているビジョンからすれば当然の帰結かもしれないが、顧客と最も接している従業員の人材育成にも1,000万ドル(約10億円)という多額の投資をした。

書評

一昨年、アイスランドに行った際、SASを利用したが『真実の瞬間』を目の当たりにした。
最初に驚いたのは、他の航空会社では味わったことのない過剰と思えるほどの飲食サービスだった。
さらに驚いたのは、私が寝ている間に眼鏡を落とし、他の客に踏まれて破損していたのだが、気づいたCAが私が起きるまでの間に修復し、起きた瞬間に持ってきてくれたのだ。

サービスの質も素晴らしいが、帰国後に思ったこととして、SASに共同出資している北欧諸国は、世界幸福度ランキングトップの国々だ。その下地があるからこそ最高の人間味溢れるサービスができるのだとも感じた。

フラット型マネジメントの基本は、「顧客本位という原点を大切にするからこそ、その顧客と頻繁に接している職員の個性、感性、潜在能力を引き出し、主役としていくことが大切である」ということだ。

そして何よりもマネジメントリーダーに求められる大切な観点は『職員の幸福度を高める』という意識なのだと思う。

それは顧客対応、もっと言えば、『真実の瞬間』に結びつくように思う。
経営者の誰もが求めている『成果』を産みだすために必要なことは、ヤン・カールソンが本書で述べている以下の言葉に要約されている。

「私は、読者に、自社の組織の見直しを強く勧めたい。ピラミッド機構を崩せば、顧客をさらに満足させるサービスを提供するだけでなく、従業員が内に秘めている活力を解放する。しかも、企業体質は以前とは比較にならないほど弾力的になり、驚異的な成果が期待できるのである。

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