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方法序説/デカルト

デカルト

概要&解説

デカルトは近世哲学の祖である。方法序説は、デカルト自身が、『真理の認識に近づくために決めた方法』である。人間は、生れてから感覚的欲望と訓戒者とによって長い間支配されてきたが故に正しい判断ができなくなる。純粋で堅固な判断基準となる物差し(方法)をつくるには、理性から導きださなければならない。そして、彼は、有名な言葉「私は考える、それ故に私は有る」を全ての彼の哲学の第一原理とした。それは、誰によっても覆しようのない真理であったということ、そして、「真理を見出すためには、普遍的概念へ到達するために、常に特殊的概念から始めなければならない」という考えからであった。そこから本著の最も重要な骨子である四つの法則を導きだした。それが、①明証の規則、②分析の規則、③総合の規則、④枚挙の規則である。

書評

私は22歳の頃、混沌とした出口の見えない日々を送っていたが、出口を見つけ出すきっかけを与えてくれたのが本著である。当時私は、生まれてからそれまでの人生で醸成されてきた自分自身の感情や情動に加え、教育的立場にあった周りの人たちによる教えによるものでつくられたマインドセット(思考様式、心理状態)によって、ぐるぐると同じところを回っていた。その状態から彼が正しい脱出の仕方を教えてくれた気がする。
デカルトの印象を一言で言い表すと、『理性』である。彼が提唱しているのは、理性から導きだした法則によって、真理に到達しうるというもので、その四つが提唱されている。当時は、感情、情動と反対の言葉の意味として、理性を理解していた。もっと言えば、理性とは単純に『感情や情動に左右されずに物事の本質を考える思考の働き』だと考えていた。感情、情動はいけないもので、理性的に判断しなければいけないものだと考えた。しかしながら、古来、理性は、それによって、『宇宙における諸事象の中から見出されるカオス(混沌)の中から宇宙の法則、すなわち、調和的宇宙が出現する』とある。要は、宇宙的意識に目覚めるために必要な意識状態だと。悟性的に使われているが、理性と悟性を対比的に扱う哲学者もいて様々である。デカルトは理性的能力を『良識』、『自然の光』という言葉で表している。そして、「理性によってしか、真理は見いだせず、目覚めながらの思想のうちみに見出されねばならぬ」としている。要は経験から導きだすものではないということだ。
人生という旅の途中で、迷いの中にいて、頭を整理したい人にお勧めの本。短編なので読みやすく、論理的思考能力を養う副産物もある。

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