人間味あふれる人材開発

『自己マネジメントの研究Vol.2』《自らの強みを知る》

テーマ毎のまとめ(プロフェッショナルの条件/P.F.ドラッガー)

1.自らをマネジメントする

【2】自らの強みを知る
●生き生きと働くための方法
これからは、誰もが自らをマネジメントしなければならない。自らを最も貢献できる場所に置き、成長していかなければならない。働く期間は50年に及ぶ。その間、生き生きと働くことができなければならない。自らが行うこと、その行い方、行うとき、さらにはそれらをいつ、いかに変えるかを知らなければならない。

知識労働者たるものは、自らの組織よりも長く生きる。したがって、他の仕事を準備しておかなければならない。キャリアを変えなければならない。自らをマネジメントすることができなければならない。

●強みは何か
誰でも、自らの強みについては、よくわかっていると思っている。だが、たいていは間違っている。わかっているのは、せいぜい弱みである。それさえ間違っていることが多い。しかし、何ごとかを成し遂げるは、強みによってである。

自らの属する場所がどこであるかを知るために、自らの強みを知ることが不可欠になっている。強みを知る方法は一つしかない。フィードバック分析である。何かをすることを決めたならば、何を期待するかをただちに書きとめておく。9ヶ月後、1年後に、その期待と実際の結果を照合する。私自身50年続けている。そのたびに驚かされている。

こうして2、3年のうちに、自らの強みが明らかになる。自らについて知りうることのうち、この強みこそもっとも重要である。さらに、自ら行っていることや行っていないことのうち、強みを発揮するうえで邪魔になっていることも明らかになる。それほどの強みではないことも明らかになる。まったく強みのないこと、できないことも明らかになる。

●フィードバック分析から分かること
①明らかになった強みに集中すること。成果を生み出すものに集中すること。
②その強みをさらに伸ばすこと。
フィードバック分析は、伸ばすべき技能新たに身に着けるべき知識を明らかにする。更新すべき技能や知識を教える。(同時に、自らの技能や知識の欠陥を教える。)
③無知の元凶ともいうべき知的な傲慢を正すこと
フィードバック分析は、仕事の失敗が、知っているべきことを知らなかったためであったり、専門以外の知識を軽視していたためであったことを明らかにする。
④自らの悪癖を改めること
行っていること、行っていないことのうち、仕事ぶりを改善し成果をあげるうえで邪魔になっていることを改めなければならない。
⑤人への対し方が悪くて、みすみす成果をあげられなくすることを避けること
⑥行っても成果のあがらないことは行わないこと
フィードバック分析は、そのような無駄を明らかにする。並の才能や技能さえもちえない分野では、仕事を引き受けてはならない。
⑦努力しても並にしかなれない分野に無駄な時間を使わないこと
強みに集中すべきである。無能を並の水準にするには、一流を超一流にするよりも、はるかに多くのエネルギーを必要とする。多くの人たち、組織、学校の先生方が、無能を並にすることに懸命になっている。資源にしても、強みをもとに、スターを生むために使うべきである。

●仕事の仕方に着目する
自らがいかなる仕事の仕方を得意とするかは、強みと同じように重要である。実際には、強みよりも重要かもしれない。

仕事の仕方も人それぞれある。個性である。人は得意な仕方で成果をあげる。仕事の仕方は、修正できても、変更することはできない。少なくとも簡単にはできない。フィードバック分析は不得手とする仕事の仕方も明らかにする。仕事の経験が何年かは必要かもしれないが、いかなる仕事の仕方が成果をもたらすか、ただちに答えられるようになる。

理解の仕方)
仕事の仕方について初めに知っておくべきことは、理解の仕方に関することである。すなわち、読む人間か聞く人間かということである。その両方である人とはほとんどいない。これを知らないことが、いかに大きな害をもたらすかについては多くの例がある。

仕事の学び方)
もう一つ仕事について知っておくべきことは、仕事の学び方である。学び方は、読み手か聞き手かと言う問題以上に深刻な状況にある。

ベートーヴェンは膨大なメモをとることによって学ぶ。一流大学の教授について調べたとき、かなりの人たちが、学生に教えるのは自分がする話を自分の耳で聞きたいからだ、そうすることによって初めて書けるようになると答えていた。

この自らの学び方についての知識に基づいて行動することこそ、成果をあげる鍵である。あるいは、それらの知識に基づいて行動しないことこそ、失敗を運命づけるものである。

●人と組むか、ひとりでやるか
どのような人と組むか)
組んだほうがよいのであれば、どのように組んだときよい仕事ができるかを知らなければなあない。チームの一員として働くとき、最高の人がいる。助言役として、最高の人がいる。教師や相談役として最高の人がいる。相談役としては、まったく価値のない人もいる。

どのような環境が仕事ができるか)
もう一つ知っておくべき大事なことがある。仕事の環境として、緊張感や不安があったほうが仕事ができるか、安定した環境のほうが仕事ができるかである。

大小どちらの組織でやる方が仕事ができるか)
さらには、大きな組織で歯車として働いたほうが仕事ができるか、小さな組織のほうが仕事ができるかである。大きな組織で成功しながら、小さな組織に移ったとたん、仕事がうまくいかなくなる人が大勢いる。逆に、小さな組織では素晴らしい仕事をしていながら、大きな組織に移ったとたんい、途方にくれる人がいる。

どのような役割でやる方が成果があがるか)
また、仕事の上の役割として、意思決定者補佐役のどちらのほうが成果をあげるかという問題がある。補佐役として最高でありながら、自ら意思決定をする重荷には耐えられない人がいる。逆に、勇気ある意思決定を自信をもって迅速に行う人がいる。ナンバー・ツーとして活躍していたが、トップになったとたん挫折する人がいる。トップの座には、意思決定の能力が必要である。強力なトップは、信頼できる助力者としてナンバー・ツーを必要とする。

これらのことから出てくる結論は一つである。今さら自らを変えようとしてはならない。うまくいくわけがない。それよりも、自らの得意とする仕事の仕方を向上させていくべきである。不得意な仕方で仕事を行おうとしてはならない。

●価値観を優先する
自らをマネジメントするためには、強み仕事の仕方とともに自らの価値観を知っておかなければならない。

組織には価値がある。そこに働く者にも価値観がある。組織において成果をあげるためには、働く者の価値観が組織の価値観になじまなければならない。同一である必要はない。だが、共存できなければならない。さもなければ、心楽しめず、成果もあがらない。

強みと仕事の仕方が合わないことはあまりない。両者は密接な関係にある。

強みと価値観が合わないことは珍しくない。よくできること、特にできること、恐ろしくよくできることが自らの価値観に合わない。世の中に貢献しているとの実感がわかず、人生のすべて、あるいは一部を割くに値しないと思われることがある。

つまるところ、優先すべきは、価値観である。

●ところを得る
①強み、②仕事の仕方、③価値観という三つの問題に答えが出さえすれば、得るべきところも明らかになるはずである。ただし、これは働き始めたばかりでわかることではない。

大組織では成果をあげられないことが分かったならば、いかによい地位が約束されていても断らなければならない。

①強み、②仕事の仕方、③価値観が分かっていれば、機会、職場、仕事について、私がやりましょう、私のやり方はこうです、仕事はこういうものにすべきです、他の組織や人との関係はこうなります、これこれの期間内にこれこれのことを仕上げます、と言えるようになる。

最高のキャリアは、あらかじめ計画して手にできるものではない。①強み、②仕事の仕方、③価値観を知り、機会をつかむよう用意をした者だけが手にできる。なぜならば、自らの得るべきところを知ることによって、普通の人、単に有能なだけの働き者が、卓越した仕事を行うようになるからである。

 

要点整理

◆自らの強みを知る

●生き生きと働くための方法
これからは、誰もが自らをマネジメントしなければならない。自らを最も貢献できる場所に置き、成長していかなければならない。

●強みは何か
何ごとかを成し遂げるは、強みによってである。自らの属する場所がどこであるかを知るために、自らの強みを知ることが不可欠になっている。強みを知る方法は一つしかない。フィードバック分析である

●フィードバック分析から分かること
①明らかになった強みに集中すること。成果を生み出すものに集中すること。
②その強みをさらに伸ばすこと。
③無知の元凶ともいうべき知的な傲慢を正すこと(何を勉強するべきか)
④自らの悪癖を改めること(何を改善するべきか
⑤人への対し方が悪くて、みすみす成果をあげられなくすることを避けること
⑥行っても成果のあがらないことは行わないこと
⑦努力しても並にしかなれない分野に無駄な時間を使わないこと(何に時間を集中すべきか

●仕事の仕方に着目する
自らがいかなる仕事の仕方を得意とするかは、強みと同じように重要である。人は得意な仕方で成果をあげる。

理解の仕方  例)読む人か、聞く人か
仕事の学び方 例)メモを取る、人に教える

●人と組むか、ひとりでやるか
①どのような人と組むと仕事ができるか
②どのような環境が仕事ができるか 例)緊張感あり、安定した環境
大小どちらの組織でやる方が仕事ができるか
④どのような役割でやる方が成果があがるか 例)意思決定者か補佐役、例)№1か2か

これらのことから出てくる結論は一つである。今さら自らを変えようとしてはならない。うまくいくわけがない。それよりも、自らの得意とする仕事の仕方を向上させていくべきである。不得意な仕方で仕事を行おうとしてはならない。

●価値観を優先する
自らをマネジメントするためには、強み仕事の仕方とともに自らの価値観を知っておかなければならない。強みと価値観が合わないことは珍しくない。

優先すべきは、価値観である。

●ところを得る
①強み、②仕事の仕方、③価値観が分かっていれば、機会職場仕事について、私がやりましょう、私のやり方はこうです、仕事はこういうものにすべきです、他の組織や人との関係はこうなります、これこれの期間内にこれこれのことを仕上げます、と言えるようになる。

最高のキャリアは、あらかじめ計画して手にできるものではない。①強み、②仕事の仕方、③価値観を知り、機会をつかむよう用意をした者だけが手にできる。

所 見

◆自らの強みを知る

●強みを見つける前提条件
ドラッガーが述べているフィードバックによる強みの見出し方以外にも強みを見出す方法はあると思う。自らの強みを知る上で、前提としてとても大切だと思うのは、様々なことにチャレンジ、挑戦する機会を自らに与ることだと思う。機会は自ら選択できる場合、できない場合がある。人間は本当はやりたいことだけやりたい。しかしながら、実際に社会に出て、やらざるを得ないことに出くわし、挑戦することで、自らの強み、得意とすることを発見することもできる。

私自身、社会に出ていろいろなことを経験してきた。アルバイト等も含めればたくさんある。倉庫係、警備員、コンビニの店員、デパートの店員、飲食店の店員、家庭教師、事務員、教員、事業の経営、マネジメントなど。また、仕事以外の経験まで言ってしまうと本当に多くある。

●強みを見出す上での着眼点・留意点
それらの仕事をしっかり目標をたてて計画的にやってきたわけではない。でも、振り返るための前提となる材料、すなわち、挑戦、経験の数としては十分であったと思う。これまでやってきたことを紙に落とし、自らのキャリアを振り返ってみる。そうすると強みが見えてくる。着眼点として大切なのは、「何について成果があがり、社会的評価を受けたか」が大切だ。留意しなければいけないことがいくつかある。一つは、どれに興味をいだいたかではないということ。そこに焦点を合わせてしまうと、迷路に入る。二つ目は、自ら振り返るのも大切だが、他人からどのように見えているかを教えてもらうことだ。そして、三つ目は、強み(得意なこと)、やりたいこと、やるべきことについての整理だ。なぜなら、それらをごちゃまぜにしたまま人生の計画や目標をたてると、成果を出すことが難しくなるからだ。日々やるべきことを明確にし、強みを強化する習慣を身につけ、その上で、やりたいことをやっていくことが必要ではないかと思う。

●やりたいことは強み(得意なこと)になるか
やりたいことをやっていくことで、強みになる場合も、そうはならない場合もあると思う。皆が皆、メジャーリーガーの大谷選手のようになれるわけではない。アインシュタインは、バイオリンが好きでかなり練習し上手くなりたかったようだが、なかなか上手くはならなかったらしい。もし自らの強みではなく、バイオリニストになることのみに固執していたら、相対性理論で有名な科学者アインシュタインは誕生していなかったかもしれない。

●強みと価値観の駆け引き
強みや得意なことを見出し、社会で成果を上げることができても、そこで価値を見出せない場合もあるように思う。ドラッガーはその場合、価値を選ぶべきと述べている。価値を選べば仕事を失うことになる。

私の考えとしては、強みや仕事の仕方が確立され、人間として尊ぶべき自らの価値基準に照らして今の場所が違うと心の声が判断したならば、価値観を見出せる場所へ移るべきだと思う。そうでなければ、人間性をどんどん失っていくことになる。もちろん、経済的な事情が許す方々ばかりではないので、できれば、次のステップへの準備をした上で決断した方が良いとは思う。いずれにしてもその場合、価値観の合う場所をさがし求めて移るか自らの価値を発信し、共感してくれる人たちと一緒に仕事をするかになると思う。

●価値観について(補足)
人生や仕事に大きく影響するのが価値観。それぞれが有する価値観に善し悪しはないと思う。しかしながら、本当にそれが心底求めるている価値観なのか、自らの魂が求めている価値観なのかは自問自答する必要はあると思う。基本的に、自らの成長過程における外部環境の影響で価値観はつくられる。もしそれが、自らを苦しめること、生きずらにつながっているものであれば、見直す必要があると思う。もちろん、そのことは仕事やキャリアに大きく影響する。また、価値観は変化していくものであり、人間精神の中核を担う人生ミッション(使命)、人生ビジョンに影響を与えるものだ。自らの人生に多大なる影響を与える価値観を常に意識して生きていくことはとても大切なことだと思う。

お問い合わせ

タグ: , ,