人間味あふれる人材開発

『自己マネジメントの研究Vol.3』《タイムマネジメント》

テーマ毎のまとめ(プロフェッショナルの条件/P.F.ドラッガー)

1.自らをマネジメントする

【3】時間を管理する
●自分の時間をどのように使っているか
成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。

何に時間がとられているかを明らかにすることからスタートする。次に、時間を管理すべく、自分の時間を奪おうとする非生産的な要求を退ける。最後にその結果得られた時間を大きくまとめる。

すなわち①時間を記録し、②時間を管理し、③時間をまとめるという三つの段階が、成果をあげるための時間管理の基本である。

成果をあげるものは、時間が制約要因であることを知っている。おそらく、時間に対する愛情ある配慮ほど、成果をあげている人を際立たせるものはない。

時間を管理するには、まず、自らの時間をどのように使っているかを知らなければならない。

●時間を無駄にする仕事
時間を無駄に使わせる圧力は、常に働いている。なんの成果ももたらさない仕事が、時間の半分を奪っていく。ほとんどは無駄である。地位が高くなれば、その高くなった地位が、さらに時間を要求する。

例)毎晩のように続く会食会、上得意からの電話(業務外の話)、組織内のあらゆる会議への出席など

成果には何も寄与しないが無視できない仕事に時間を取られる。膨大な時間が、ほとんど、あるいはまったく役に立たないことに費やされる。

仕事の多くは、たとえごくわずかの成果をあげるためであっても、まとまった時間を必要とする。こま切れでは、まったく意味がない。何もできず、やり直さなければならなくなる。

報告書の作成に六時間から八時間を要するとする。しかし一日に二回、十五分ずつを三週間充てても無駄である。得られるものはいたずら書きにすぎない。

●時間をまとめる
時間は、大きなまとまりにする必要がある。小さなまとまりでは、いかに合計が多くとも役に立たない。

人間関係には時間をかける)
何かを伝えるためには、まとまった時間が必要である。肝心なことを分からせ、影響を与えたいのであれば、一時間を必要とする。何らからの人間関係を築くためには、はるかに多くの時間を必要とする。

知識労働者との関係には時間をかける)
知識労働者との関係では、特に時間が必要である。彼らとは、何をなぜ行わなければならないかについて、腰を据えて一緒に考えなければならない。何が、なぜ期待されているかを理解させなければならない。自らが生み出すものを活用する人たちの仕事を理解させなければならない。そのためには、多くの情報や対話や指導が必要となる。

トップはスタッフとの対話に時間をかける)
成果をあげている組織では、組織のトップたちが意識して時間を割き、「あなたの仕事について、何を知らなければならないか」「この組織について、何が気がついたことはないか」、「われわれが手をつけていない機会は、どこにあるか」「まだ気づいていない危険は、どこにあるか」、「私から聞きたいことは何か」と聞いている。

人間関係には時間をかけて時間を節約する)
いかなる組織でも話し合いが必要である。話し合いがなければ、知識労働者は熱意を失い、ことなけれ主義に陥るか、自らの精力を専門分野にのみ注ぎ、組織の機会やニーズとは無縁になっていく。そのような話し合いは、くつろいで、急がずに行われなければならないだけに、膨大な時間を必要とする。話し合いでは、ゆとりがあると感じられなければならない。それが結局は近道である。そのためには、中断のないまとまった時間を用意しなければならない。

組織が大きくなるほど、実際に仕える時間は少なくなる。自らの時間がどのように使われているかを知り、自由にできるわずかな時間を管理することが、それだけ重要となる。

人事には時間をかける)
人事についての決定こそ、手早く行うと失敗する。正しい人事のために必要とされる時間は、驚くほど多い。人事についての決定がどのような意味をもつかは、何度も考え直して、初めて明らかとなる。

常時イノベーションが必須の変化の激しい社会は膨大な時間を要求する)
高い生活水準は、時間に対して膨大な要求を突きつける。短時間のうちに考えたり、行ったりすることのできるのは、すでに知っていることを考えるか、すでに行っていることを行うときだけである。

第二次世界大戦後のイギリスの不振の原因の一つは、古い世代の企業人たちが、肉体労働者と同じように楽をし、同じように短時間の労働ですまそうとしたことにある。そのようなことが可能なのは、企業にしても、産業界全体につぃても、既存の枠にしがみつき、創造と変革を避けることが許される場合だけである。

●時間の使い方を記録する
時間をどのように使っているかを知り、続いて時間の管理に取り組むには、まず時間を記録する必要がある。

知識労働者においては、時間の活用と浪費の違いこそ、成果と業績に直接関わる重大な問題である。知識労働者が成果をあげるための第一歩は、実際の時間の使い方を記録することである。

時間の記録の具体的な方法については、ほぼリアルタイムに記録していくことである。継続して時間の記録をとり、その結果を毎月見ていかなければならない。最低でも年二回ほど、三、四週間記録をとるべきである。記録を見て、日々の日程を見直し、組み替えていかなければならない。半年も経てば、仕事に流されて、いかに些事に時間を浪費させられていたかを知る。

●仕事を整理する
時間の使い方は、練習によって改善できる。だが、たえず努力しないかぎり、仕事に流される。時間の記録の次に来る一歩は、体系的な時間の管理である。時間を浪費する非生産的な活動を見つけ、排除していくことである。

時間の使い方についての自己診断のために、いくつかの問いかけを自らに対して行っていく必要がある。

第一に、いかなる成果も生まない完全な時間の浪費であるような仕事を見つけ、捨てなければならない。「まったくしなくなったならば、何が起きるか」を考えればよい。ここでなすべきことは、自らの組織、自分自身、あるいは貢献すべきほかの組織に何ら貢献しない仕事に対しては、ノーということである。

第二に、「他の人間でもやれることは何か」を考えなければならない。自らが行うべき仕事に取り組むために、人にできることを任せることは、成果をあげるうえで必要なことである。

第三に、自らがコントロールし、自らが取り除くことのできる時間浪費の原因を排除しなければならない。これは、自らが他の人の時間を浪費しているケースである。発見のための簡単な方法は「あなたの仕事に貢献せず、ただ時間を浪費させるようなことを、私は何かしているか」と定期的に聞けばよい。答えを恐れることなくこう質問できることが、成果をあげる者としての条件である。

時間を整理しすぎることを恐れる)
不必要かつ非生産的な時間が多いことについては、誰もがよく知っている。しかし、時間を整理することは恐れる。間違って重要なことを整理してしまうのではないかと恐れる。だが、そのような間違いは、ただちに訂正できる。整理しすぎれば、すぐにわかる。

●マネジメントの欠陥がもたらす時間の浪費
これらの時間の浪費以外に、マネジメント上の欠陥に起因する時間の浪費がある。それらの間違いや欠陥は、あらゆる人の時間を浪費する。

第一に、システムの欠陥や先見性の欠如からくる時間の浪費である。
ここにおいて発見すべき徴候は、周期的な混乱、繰り返される混乱である。二度起った混乱を再び起こしてはならない。繰り返し起こる混乱は予見できる。したがって、予防するか、事務的に処理できる日常の仕事にルーティーン化しなければならない。ルーティーン化とは、判断力のない未熟練の人でも、天才的な人間を必要とするような仕事を処理できるようにすることである。有能な人間が経験から学んだことを、体系的かつ段階的なプロセスにまとめてしまうことである。繰り返し起こる混乱は、ずさんさと怠慢の徴候である。よくマネジメントされた組織は、日常はむしろ退屈な組織である。そのような組織では、真に劇的なことは、明日をつくるための意思決定である。

第二に、人員過剰からくる時間の浪費がある。
仕事をするよりも、たがいに作用し合い、影響し合うこちに、ますます多くの時間が使われているという状況である。もし、組織の上のほうの人たちが、時間をある程度以上、おそらくは一割以上を、人間関係、反目や摩擦、担当や協力に関わる問題に取られているならば、人が多すぎることはほとんど確実である。お互いが仕事を邪魔している。スマートな組織では、衝突することなく動く余地がある。

第三に、組織構造の欠陥からくる時間の浪費がある。
その兆候は、会議の過剰である。理想的に設計された組織とは、会議の無い組織である。会議は元来、組織の欠陥を補完するためのものである。会議は原則ではなく、例外にしなければならない。会議の過多は、仕事の組み立てや、組織の単位に欠陥があるこを示す。

第四は、情報に関わる機能障害からくる時間の浪費がある。
必要な情報が必要なところ、部署に伝わっていないことによる時間の浪費。

システムの欠陥や先見性の欠如、人員の過剰、組織構造の欠陥、情報の不全など、時間の浪費を招くマネジメント上の問題は、ただちに改善する必要がある。もちろん粘り強い努力を要することもある。だが、成果は大きい。特に時間に関わる成果が大きい。

●汝の時間を知れ
成果をあげるためには、自由に使える時間を大きくまとめる必要がある。大きくまとまった時間が必要なこと、小さな時間は役に立たないことを認識しなければならない。たとえ一日の時間の四分の一であっても、まとまった時間であれば、重要なことをするには十分である。したがって、時間管理の最終段階は、時間の記録と仕事の整理によってもたらされた自由な時間をまとめることである。

時間をまとめる方法)
時間をまとめるには、いろいろな方法がある。ある人たちは、週に一日は家で仕事をしている。またある人たちは、会議や打合せなど日常の仕事を、週に二日、たとえば月曜と金曜に集め、他の日、特に午前中は、重要な問題についての集中的かつ継続的な検討に当てている。しかし、時間をまとめるための具体的方法よりも、時間管理に対するアプローチの仕方の方がはるかに重要である。

仕事の締め切り日を設ける)
時間の管理は継続的に行われなければならない。継続的に時間の記録をとり、定期的に仕事の整理をしなければならない。そして、自由にできる時間の量を考え、重要な仕事については、締め切りを自ら設定しなければならない。

大きな成果をあげているある人は、緊急かつ重要な仕事とともに、気の進まない仕事についても、締め切りを設けたリストを作っている。それらの締め切り日に遅れ始めると、自由にできる時間が再び奪われつつあることを知る。

時間の分析は、自らの仕事を分析し、その仕事の中で何が本当に重要かを考えるうえでも、体系的かつ容易な方法である。汝の時間を知れとの命題には、誰でも従えるはずである。その結果、誰でも成果と貢献への道を歩める。

                   要点整理

◆時間を管理する

●自分の時間をどのように使っているか
成果をあげる者は時間からスタートする。

すなわち①時間を記録し、②時間を管理(取捨選択)し、③時間をまとめるという三つの段階が、成果をあげるための時間管理の基本である。

●時間を無駄にする仕事
成果には何も寄与しないが無視できない仕事に時間を取られる。膨大な時間が、ほとんど、あるいはまったく役に立たないことに費やされる。

例)毎晩のように続く会食会、上得意からの電話(業務外の話)、組織内のあらゆる会議への出席など

●時間をまとめる
時間は、大きなまとまりにする必要がある。

・人間関係には時間をじっくりかけることが重要である
何らからの人間関係を築くためには、はるかに多くの時間を必要とする。

・知識労働者との関係には時間をかける
知識労働者との関係では、多くの情報や対話や指導が必要となる。

・トップは対話に時間をかける

・人事には時間をかける
人事についての決定こそ、手早く行うと失敗する。

・常時イノベーションが必須の変化の激しい社会は膨大な時間を要求する

●時間の使い方を記録する
時間の記録の具体的な方法については、ほぼリアルタイムに記録していくことである。最低でも年二回ほど、三、四週間記録をとるべきである。

●仕事を整理する
体系的な時間の管理である。時間を浪費する非生産的な活動を見つけ、排除していくことである。

・時間整理の診断方法
第一に、いかなる成果も生まない完全な時間の浪費であるような仕事を見つけ、捨てなければならない。「まったくしなくなったならば、何が起きるか」を考えればよい

第二に、「他の人間でもやれることは何か」を考えなければならない。

第三に、自らが他の人の時間を浪費しているケースである。「あなたの仕事に貢献せず、ただ時間を浪費させるようなことを、私は何かしているか」と定期的に聞けばよい。

・時間を整理しすぎることを恐れる
間違って重要なことを整理してしまうのではないかと恐れる。だが、そのような間違いは、ただちに訂正できる。整理しすぎれば、すぐにわかる。

●マネジメントの欠陥がもたらす時間の浪費
マネジメント上の欠陥に起因する時間の浪費がある。それらの間違いや欠陥は、あらゆる人の時間を浪費する。

第一に、システムの欠陥や先見性の欠如からくる時間の浪費である。
予防するか、事務的に処理できる日常の仕事にルーティーン化しなければならない。

第二に、人員過剰からくる時間の浪費がある。
仕事をするよりも、たがいに作用し合い、影響し合うこちに、ますます多くの時間が使われているという状況である。

第三に、組織構造の欠陥からくる時間の浪費がある。
その兆候は、会議の過剰である。理想的に設計された組織とは、会議の無い組織である。会議は元来、組織の欠陥を補完するためのものである。

第四は、情報に関わる機能障害からくる時間の浪費がある。
必要な情報が必要なところ、部署に伝わっていないことによる時間の浪費。

●汝の時間を知れ
成果をあげるためには、自由に使える時間を大きくまとめる必要がある。時間管理の最終段階は、時間の記録と仕事の整理によってもたらされた自由な時間をまとめることである。

・時間をまとめる方法
時間をまとめるには、いろいろな方法がある。

例)週に1日家で仕事をする、会議や打合せを月曜と金曜にまとめる、ある日の午前中に重要な問題についての集中的かつ継続的な検討に当てる

しかし、時間をまとめるための具体的方法よりも、時間管理に対するアプローチの仕方の方がはるかに重要である。

・仕事の締め切り日を設ける
大きな成果をあげているある人は、緊急かつ重要な仕事とともに、気の進まない仕事についても、締め切りを設けたリストを作っている。それらの締め切り日に遅れ始めると、自由にできる時間が再び奪われつつあることを知る。

☆時間の分析は、自らの仕事を分析し、その仕事の中で何が本当に重要かを考えるうえでも、体系的かつ容易な方法である。

所 見

◆時間を管理する

●ドラッガーの時間管理の趣旨
ドラッガーの時間管理についての考え方の主要な点をまとめると、一点目として、成果をあげるうえでも、何が重要かを見出す上でも、時間を①記録し、②整理し、③まとめることが重要だということ。二点目として、作業も人間関係も集中できる時間、すなわち、まとまった時間が必要であるということ。三点目として、何事も締め切りを設けること。以上が、成果をあげる上で重要だと述べている。

●人間関係、イノベーションに時間をかける必要性あるとしている点について
基本的に、賛同することしかない。ドラッガーが述べている点で注目すべき点としては、時間をかけるべき点として、人間関係づくり、イノベーションを生み出すための時間、すなわち、創造と変革のためには、じっくり時間をかける必要があると述べていることだ。

欧米的なイメージだと、具体的な仕事の中身についての契約になっているので、人間関係に時間を割くことはそれほど重要視しないイメージがあったからだ。成果を上げるためにも人間関係は大切ということだ。マネジメントの視点でも、知識労働者の時代に入っているからということもあるのだろうが、その点を重要視していることに注目した。

また、イノベーションを生み出すためにかける時間の必要性については、これだけ社会が凄いスピードで変化し、したがって顧客のニーズも凄いスピードで変化しているので、常時時流を読み解きながら、イノベーションするための構想を練っていくことは必要不可欠だと思う。

●ワークライフ・バランス、生産性との関係
昨今、ワークライフ・バランス、生産性が問われる時代となった。私もそのことには、基本的に同意している。しかしながら、根本的なテーマを考えずにただそればかりに走ると成果も出せず、クオリティーが落ち、人間関係も希薄になるという逆効果も考えられると思う。正しく分析し、しっかりとした物差しで時間を省くところと、かけるところを見極めていくことがとても重要なことだと思う。

●対話に時間を投資することの重要性
ワーク・ライフバランス及び生産性と対話のかける時間は対立関係にあるものではない。対話にかける時間は、むしろ、仕事を効率的にするために必要である。じっくりと時間をかけて対話をすることは、具体的には、①人間としてお互いを深く知ること、②組織の方向性について共通の認識を得ること、③業務においても、求めていることと、求められていることが一致していること、が可能となる。それは、むしろ、時間を節約することにつながる。なぜならば、もし、対話をおろそかにした場合、次のようなことが起るからだ。①お互いの特性や背景がつかめず、意思伝達がスムーズにいかなくなること。場合によっては、お互いの不信感がどんどん増すようになってしまうこと。②どこに組織が向かっているのかわからくなることから不信感、不安感、不満感のもとになること。③業務の内容がきちんと伝わっていないために、アクシデントやインシデントが生じやすくなること。以上のようなことが起きる。結局は、時間を節約したつもりが、かえって、大きな問題を引き起こし、より多くの時間を割くことにつながるからだ。

●作業にまとまった時間を投資すること
小説家や画家などの創造的仕事、表現する仕事などはわかりやすい。例えば15分刻みの時間の寄せ集めをしたところで集中できるはずがない。大作が生まれるはずがない。

それと同じで、より深い次元、より深い観点にまで到達するには、ゾーンに入る必要があり、ゾーンに入るには時間を要する。絵画でも、文章作成でも、対話でも総じて言えることだと思うが、まとまった時間を集中的に投資し、自己を表現し、開示することを途切れなく続けていく中で、心の奥深くに入ることができ、深い次元、すなわち、心の声、真我の声に達するのだと思う。人間は頭だけでは、感動を生むものはつくれない。個性あるものは表現できない。

また、いったんゾーンに入ったら、時間が許す限り簡単には出ない方が良い。これは持論である。なぜならば、その状態に戻るには大変な時間を要するからだ。また、ゾーンに入れるかは、空間や環境、体調、作業時間帯によるところも大きい。いったんそれを逃すと元に戻るのは簡単ではない。いったん区切りをつけないといけない時は、せめて、次の作業の時にできるだけ早くその状態に戻るために、その時出て来た発想くらいは、メモをしておくことが大切だ。

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