心に響くあり方を探求する

『自己マネジメントの研究Vol.7』《何によって憶えられたいか》


テーマ毎のまとめ(プロフェッショナルの条件/P.F.ドラッガー)

2.自己実現への挑戦

【3】何によって憶えられたいか
●自らの成長に責任をもつ
卓越性の追求)
自らの成長のためにもっとも優先すべきは、卓越性(他よりも抜きに出ていること)の追求である。そこから充実と自信が生まれる。能力は、仕事の質を変えるだけでなく、人間そのものを変えるがゆえに重要な意味をもつ。能力がなくては、優れた仕事はあれず、自信もありえず、人としての成長もありえない。

何に集中すべきか)
組織に働く者にとっては、自らの成長は、組織の使命と関わりがある。それは、仕事に意義ありとする信念や献身と深い関わりがある。自らの成長に責任をもつ者は、その人自身である。誰もが自らに対し、「組織と自らを成長させるためには何に集中すべきかを問わなければならない。

自らの最高のものと引き出すこと)
自らを成果をあげる存在にできるのは、自らだけである。
したがって、まず果たすべき責任は、自らの最高のものを引き出すことである。それが自分のためである。人は、自らがもつものでしか仕事ができない。しかも人に信頼され、協力を得るには、自らが最高の成果をあげていくしかない。

責任ある存在となることは成長の必要性を認識すること)
成功の鍵は、責任である。
自らに責任をもたせることである。あらゆることがそこから始まる。大事なことは、地位ではなく責任である。責任ある存在になるということは、真剣に仕事に取り組むということであり、成長の必要性を認識するということである。ときには、辛くても、長年かけて身につけた能力が、まったく意味を失ったことを認めなければならない。例えば、10年かけてコンピュータを自在に使いこなせるようになったにもかかわらず、今や学ぶべきは、いかにして人と働くかである。責任ある存在になるということは、自らの総力を発揮する決心をすることである。「違いを生み出すために、何を学び、何をなすべきか」を問う。

成長とは人間として大きくなること)
成長するということは、能力を習得するだけでなく、人間として大きくなることである。責任に重点を置くことによって、より大きな自分を見られるようになる。うぬぼれやプライドではない。誇りと自信である。一度身に着けてしまえば失うことのない何かである。目指すべきは、外なる成長である、内なる成長である。

●辞めるか、移るか
自らの得るべきところはどこか)
自らの成長のためには、自らに適した組織において、自らに適した仕事につかなければならない。
そこで問題になるのは、「自らの得るべきところはどこか」ということである。この問いに答えを出すには、自らがベストを尽くせるのはいかなる環境かを知らなければならない。

汝を知らなければ、自らの得るべきところは得られない)
学校を出たばかりでは、自らのことはほとんど何もわからない。大きな組織のほうが仕事ができるのか、小さな組織のほうができるのかは分からない。人と一緒に仕事をするほうがよいのか、ひとりのほうがよいのか、不安定な状況のほうがよいのか、逆なのか。時間の重圧があったほうがよいのか、ないほうがよいのか。迅速に決定するほうが、しばらく寝かせないとだめなほうか。最初の仕事はくじ引きである。最初から自らに適した仕事につく確率は高くない。得るべきところを知り、向いた仕事に移れるようになるには数年が必要である。
われわれは気質や個性を軽んじがちである。だが気質や個性は、訓練によって容易に変えられるものではないだけに、重視し、明確に理解することが必要である。

自らの得ないところは自らをダメにする)
「得るべきところはどこか」
を慎重に考えた結果が、今働いているところではないということならば、次に問うべきは、「それはなぜか」である。「組織の価値観になじめないからか」「組織が堕落しているからか」もしそうであるならば、人は確実にだめになる。自らが価値ありとするところで働くのでなければ、人は、自らを疑い、自らを軽く見るようになる。あるいはまた、上司が人を操ったり、自分のことしか考えないことがある。さらに困ったことに、尊敬する上司が、実は上司としてもっとも大切な仕事、つまり部下を育て、励まし、引き上げる役目を果たさないことがある。

このうように自らがところを得ていないとき、あるいは組織が腐っているとき、あるいは成果が認められないときには、辞めることが正しい選択である。出世はたいした問題ではない。重要なのは、公正であることであり、公平であることである。さもなければ、やがて自らを二流の存在と見るようになってしまう。

仕事には刺激・変化が必要)
自らに刺激を与えるうえでも、ある種の変化が必要である。この必要は、ますます人が長生きするようになり、ますます長く活動できるようになるにつれて大きくなる。変化といっても、かけ離れたところに移る必要はない。

日常化した毎日が心地よくなったときこそ、違ったことを行うよう自らを駆り立てる必要がある。「燃え尽きた」とは、たいていの場合、飽きたというだけのことである。ほとんどの仕事は繰り返しである。喜びは、成果の中になければならない。

フィードバック分析)
仕事から学び続けるには、成果を期待にフィードバックさせなければならない。仕事の中で、さらには生活の中で、重要な活動が何かを知らなければならない。それらの活動において何を期待するかを書きとめておかなければならない。九ヶ月後、あるいは一年後に、成果とその期待を比べる。そうすることによって、自分は何をうまくやれるか、いかなる能力や知識を必要としているか、いかなる悪癖をもっているかを知ることができる。

自らをマネジメントする)
自らの仕事をし、自らのキャリアを決めていくのは自分である。自らの得るべきところを知るのは自分である。組織への貢献において、自らの高い要求を課するのも自分である。飽きることを自らに許さないよう、予防策を講ずるのも自分である。仕事を心躍るものにするのも自分である。

●成長するための原理
成果をあげるためには)
成果をあげる人とあげない人の差は、才能ではない。成果をあげるかどうかは、いくつかの習慣的な姿勢と、いくつかの基礎的な方法を身につけているかどうかの問題である。ひとりの工房では、仕事が人をつくりあげる。組織では、人が仕事をつくりあげる。

成果をあげるための第一歩は、「行うべきことを決めること」、次に「優先すべきことを決めること」、そして「自らの強みを生かすこと」である。

成果をあげるための強み)
自らの強み、指紋のように自らに固有の強みを発揮しなければ、成果を上げることはできない。なすべきは、自らがもっているものを使って成果をあげることである。

自らの強みは、自らの成果で分かる。もちろん、好きなこととうまくやれることとの間には、ある程度の相関関係がある。また、人は嫌いなことには手間をかけないことから、嫌いなこととうまくやれないこととの間には、さらに強い相関関係がある。

アルバート・アインシュタインのような例外はある。彼は、「シンフォニーで弾けるぐらいバイオリンがうまくなれるならば、ノーベル賞と取り換えてもよい」といっていた。その彼が弦楽器の名手として必要な技をまったく欠いていた。日に四時間弾いていた。それは彼の強みではなかった。数字は嫌いだといっていたが、天才だったのはその数字のほうだった。

視点をかえて自らの仕事みること)
仕事が刺激を与えてくれるのは、自らの成長を期しつつ、自らの仕事の興奮と挑戦と変化を生み出しているときである。そのような能力は、自らと自らの仕事の双方を、新たな次元で見ることによって増大する。

予期せぬ成功を見つけ自らの成長につなげる)
自らの成長につながるもっとも効果的な方法は、自らの予期せぬ成功を見つけ、その予期せぬ成功を追求することである。ところが、ほとんどの人が問題にばかり気を取られ、成功の証を無視する。

成長のプロセスを維持していくための強力な手法)
成長のプロセスを維持していくための強力な手法
を三つあげるならば、「①教えること」「②移ること」「③現場に出ること」である。

・第一に、うまくいったことをどのように行ったかを仲間に教えることである。
聞き手が学ぶだけでなく、自らが学ぶ。
・第二に、別の組織で働くことである。そこから新たな選択の道が開かれる。
・第三に、一年に何度か現場で働くことである。

成長のための偉大な能力をもつ者はすべて、自分自身に焦点を合わせている。ある意味では自己中心的であって、世の中のことすべてを成長の糧にしている。

●何によって憶えられたいか
私が13歳のとき、宗教のすばらしい先生がいた。教室の中を歩きながら、「何によって憶えられたいかね」と聞いた。誰も答えられなかった。先生は笑いながらこういった。「今答えられるとは思わない。でも、50歳になっても答えられなければ、人生を無駄にしたことになるよ。」

今日でも私は、この「何によって憶えられたいか」を自らに問い続けてる。これは、自らの成長を促す問いである。なぜならば、自らを異なる人物、そうなりうる人物として見るよう仕向けられるからである。運のよい人は、フリーグラ―牧師のような導き手によって、この問いを人生の早い時期に問いかけてもらい、一生を通じて自らに問い続けていくことができる。

 

要点整理

●自らの成長に責任をもつ
・自らの成長のためにもっとも優先すべきは卓越性の追求である。
・誰もが自らに対し、「組織と自らを成長させるためには何に集中すべきか」を問わなければならない。
・果たすべき責任は、自らの最高のものを引き出すことである。
・成功の鍵は責任である。責任ある存在となること成長の必要性を認識することである。
・成長するということは、能力を習得するだけでなく、人間として大きくなることである。

●辞めるか、移るか(自らの得るところをマネジメントする)
・自らの成長のためには、自らがベストを尽くせるのはどこかを知らなければならない。
・いくつかのキャリアを通じ汝を知ることがなければ、自らの得るべき場所は得られない。
自らの得ないところ価値観の合わないところ自らを二流にしダメにする
・仕事から学び続けるには、成果を期待にフィードバックさせなければならない。
・自らを知り、自らをマネジメントしていかなれければならない

●成長するための原理
・成果をあげるための第一歩は、
「行うべきことを決めること」、次に「優先すべきことを決めること」、そして「自らの強みを生かすこと」である。
自らの強み自らの成果でわかる。

成長の最も効果的な方法は自らの予期せぬ成功を見つけ、その予期せぬ成功を追求することである。
成長のプロセスを維持していくための強力な三つの手法
「①教えること」
「②移ること(成長できる場所を選ぶこと)」「③現場に出ること」である。

成長のための偉大な能力をもつ者はすべて、自分自身に焦点を合わせている。ある意味では自己中心的であって、世の中のことすべてを成長の糧にしている。

●何によって憶えられたいか
この「何によって憶えられたいか」を自らに問い続けてる。これは、自らの成長を促す問いである。一生を通じて自らに問い続けていくことができるものである。

 

所 見

◆何によって憶えられたか
●自らの成長に責任をもつということ
「自らの成長に責任をもつ」とはどういうことだろうか。洞察してみようと思う。「個人の組織に対する責任」と「個人の人生に対する責任」に分けることができると思う。

まず第一に組織に関するものだが、組織が社会に対して特有の使命を果たし貢献するために、個々の強みを引き出し、生産的なものに変え、その力を結集する必要がある。そして、恒常的により良きものを提供し続けるためには、品質の向上が必要であり、大小を問わずイノベーションが必要になる。イノベーションし続けるためには、個々が新しい自分に生まれ変わり続けること。すなわち、成長し続ける必要がある。それは、組織に対しての成長の責任であり、ひいては、社会に対しての成長の責任になる。

第二に、個人の人生に関するものだが、自らの強みを発揮して自己実現すること、さらには自らの使命、すなわち、「何によって憶えられたいか」を果たすためには、成長が必要となる。自己実現のプロセスを歩み、使命が深化(進化)していけばいくほど、自らがどのような強みを発揮して、世のため、人のためになろうとするかということに帰結する。言い換えれば、自らの使命を果たすためには、自らの成長が必要であり、その責任があると考えるようになる。

人間的成長によって責任感を強く感じるようになり、また責任感が必然的に成長を促す。そして、使命が成長と責任を促進させ、成長と責任が使命を深化(進化)させるのだと思う。

●自らの得るべきところをマネジメントする
まず自らの強みと価値観を見つける航海に出ること)
最初は必ずしも、自らの得るべきところ、すなわち、自らの強みを発揮できるところ、自らの価値観に合うところに身を置くことは難しいかもしれない。それは、自らの人間的成長に直結する。「自らの強みはこうである」、「自らの人間としての価値観はこうである」、したがって、「どこそこで働くべきである」といえるようになるためには、興味のある様々な仕事や職種に挑戦する一定の期間が必要である。そして、自らの強みと価値観を認識するために、意識してフィードバックしていくことが必要である。日本の現状の教育システムと社会情勢に鑑み、このような流れが一般的とならざるを得ないと思う。

環境が自らの生き死にを左右する)
自らの得るべきところに身を置くのと、自らの得るべきところではないところに身を置くのとでは、自己充足感、自己肯定感、自尊感情、幸福感に大きく隔たりが出て来る。人間は、環境の生き物。影響され、影響を与えている。人間形成には環境は極めて重要である。長いこと、自らの得るべきところではない場所に居続けるならば、不満が募り、自己否定感が募り、自尊心は低くなり、不幸せだと感じるようになる。そして、それを我慢し続け惰性で生きることは、自らが自らを卑下しているのと変わらなくなる。健全な人間は不健全な環境に居続けることはできない。そこに長く居続けることができることができるということは、不健全な人間の坩堝に自らも埋没し、不健全な人間になり下がることになる。

●自分自身に焦点をあてることの意味
まず、前提として、自己肯定感や自尊感情の低い人間が育ちやすい日本の教育システム、社会構造がある。したがって、自らに焦点をあて、自らの成長に世界を活用することのできる人間は数少ないように思う。ほとんとの日本人は、社会や組織からどう評価されているかということばかりに気を取られ、自分軸ではなく、他人軸で生きているのが現状だと思う。自らに焦点をあて、自らの成長に世界を活用することのできる人間になることが理想だが、そのためには、自己肯定感や自尊感情が必要である。さらに言えば、自らを肯定できる強みと価値観の自覚が必要だと思う。

●使命は深化(進化)し続ける
「(世の人々から)何によって憶えられたいか」という表現は、人間の成長プロセスの最初のステージとして良いと思う。子どもでも何とか考えることができるほど、普遍的なわかりやすさがある。また、最初はみな他者からの承認欲求が強く、利己的な精神からスタートするからだ。しかし、成長とともに自らの使命が深化(進化)し、最終的に天命に変わっていく。明らかに使命の次元上昇が起きる。この世にどのような使命をもって生まれてきたかを自覚できるようになるかが天命だ。その発掘は、自らにしかできない。

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